令和5事務年度における法人税等の調査事績が、令和6年11月に国税庁のHP上に公表されました。
前回の「令和5年度 法人税等の実地調査事績の概要」(令和7年1月7日付)では、全体的な講評を行いました。
今回は、いくつかの項目に絞って解説します。
この記事でわかること
追徴税額が増加している
追徴税額とは
追徴税額とは、税務調査で申告漏れや無申告が発覚した場合に支払う本来の納税額との差額分と延滞税等の附帯税を合計した金額のことです。
追徴税額が増加している
令和5事務年度の調査件数は、令和4年度の調査件数に対して約95%と減少しています。
コロナ禍において減少していた調査を少しでも回復させるために、当初、調査件数は増加するものと思われていました。しかし、結果、増加するどころか前年を下回ったのです。
しかし、調査件数は下回ったものの、申告漏れ所得金額は対前年比約125%、追徴税額も対前年比約113%で大幅に増加しています。追徴税額は、直近10年で2番目と高水準です。
税務調査の目的は、課税漏れとなっている税金を発見することですから、この目的は十分に達成されていると感じます。
大きな欠損を抱えた法人を調査して、多額の申告漏れを発見したとしても、実効税額(追徴税額)が伴わなければ、意味がないわけです。同様に、調査件数を増加しても、実効税額(追徴税額)が伴わなければ本末転倒となります。
以前の国税庁は、課税漏れの所得金額(増差所得)を重要視していたときもありましたが、現在は、追徴税額(増差税額)にポイントを置いています。
不正所得の発見割合が増加している
先にも述べたとおり、調査件数は前年よりも減少しています。
しかし、不正が発見された件数と不正所得の金額は、前年よりも増加しています。
国税庁は、大口・悪質な不正計算等が想定される法人が調査必要度の高い法人と公言しています。
これからも、この姿勢は変わりません。
調査官に対しては、口が酸っぱくなるほど「不正所得の発見」が指示されます。結果、「不正所得の発見」が高い調査官=優秀な調査官と判断(評価)されています。
良好な簡易な接触事績
最近多いのが文書や電話、来署依頼による自発的な申告内容の見直し要請(簡易な接触)です。
令和5年度において、接触件数は対前年比約105%、申告漏れ所得金額は対前年比約118%、追徴税額は、なんと対前年比約130%です。
件数的には、実地調査件数よりも多くなっています。
実地調査に比べて、追徴税額は小振りとなりますが、費やす時間はわずかです。課税漏れの割合も高くはないと思われますが、納税者に対しては、申告内容を常に注視している姿勢を見せることができます。いわゆる納税者に対するけん制効果を狙っているわけです。
まとめ
- 追徴税額が増加。直近10年で2番目と高水準。
- 不正所得の発見割合が増加。国税庁は、大口・悪質な不正計算等が想定される法人が調査必要度の高い法人と公言。
- 簡易な接触件数の増加。件数は、実地調査件数よりも多い。
引用元:国税庁サイト「令和5事務年度 法人税等の調査事績の概要」
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