令和5事務年度における法人税等の調査事績が、令和6年11月に国税庁のHP上に公表されました。

この記事でわかること

  • 調査対象となる期間(事業年度)
  • 実地調査の件数は、前年度(令和4年度)を下回ったが、その理由
  • 税務調査では、「4件に3件強」が間違いを指摘されている。
  • 「調査5件のうち1件強」で重加算税の対象となる不正所得が発見されている。

調査対象となる期間(事業年度)

令和5事務年度の調査事績は、令和5年2月1日から令和6年1月31日までの間に事業年度が終了した法人を対象に、令和5年7月から令和6年6月までの間に実施した調査に係るものです。

実地調査の件数は、前年度(令和4年度)を下回ったが、その理由

実地調査の件数は59千件であり、前年対比94.6%と減少しています。減少した原因の1つに、調査担当者のスキルの低さがあります。近年、ベテラン調査官の定年退職者が大幅に増加する中、税務署には多くの新人調査官が配属されています。新人調査官も経験を積めば効率的な調査を実施できるようになりますが、コロナ渦の影響で経験の場である調査が減少しましたし、調査に対する研修も思うように実施されませんでした。また、指導する立場のベテラン調査官の定年退職者の増加も一因と考えられます。

今後、新人調査官が経験を積むことにより、スキルが上がり効果的な調査が実施され、調査件数は増加していくものと予想されます。

 

税務調査では、4件に3件が間違いを指摘されている。

税務調査より間違いを指摘された件数は、実地調査件数59千件のうち45千件で全体の調査件数の76.3%を占めており、前年同様、4件のうち3件強で間違いを指摘されています。
調査1件あたりの増差所得は16,597千円で前年対比132.0%と急増しています。

「調査5件のうち1件強」で重加算税の対象となる不正所得が発見されている。

重加算税の対象となる不正な非違が発見された割合は、22.3%で前年度より1.6ポイント増加しています。相変わらずが、5件のうち1件強で不正が発見されており、決して低い割合ではありません。

重加算税の対象となる誤りは?

税務調査で指摘される誤りは「ミス」と「隠ぺい・仮装」に大別されます。
「ミス」とは、“単純な記載漏れ”“集計ミス”“認識・解釈等の違い”を言います。
「隠ぺい・仮装」とは、“故意に隠す”“仮の事実を装う行為(嘘をつくこと)”を言います。「隠ぺい・仮装」と判断されれば、「重加算税を課される」等のペナルティがあります。
税務調査で誤りが発見された場合、その誤りが単純な「ミス」なのか故意に行われた「隠ぺい・仮装」なのかは非常に重要です。
詳しくは、重加算税を課される「隠ぺい・仮装」とは?をご覧ください。

その他

調査1件当たりの追徴税額は、3,582千円で前年度より19.0ポイントも増加しています。

不正1件当たりの不正所得は、21,245千円とほぼ前年と同様となっています。

なお、過去3か年分の実地調査の状況は、下の表のとおりです。

 


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