こんにちは、税理士の占部です。
今日は、税務調査官時代に印象に残っている税務調査のお話を3つしたいと思います。

※個人の情報を守るため、主旨はそのままに、実際の出来事から一部変更を加えています。

はじめて税務調査を受けることとなった経理担当者

私が税務調査官だった頃、ある会社で経理を担当していた事務員から、総勘定元帳を出してもらって見ていた時でした。
気になったページがあったので見直そうと前のページに戻った時に、
「ええっ、どうして前のページに戻って見るのですか。」
「えっ。少し気になったもので見直ししようと思いまして。」
「びっくりしました。何か問題があったのかと思って。戻って見ずにそのまま進んでみていただけますか。」
記憶では初めての調査を受ける方だった気がしますが、書類を見られる方はやはり気になるのだなと感じました。

税務調査に慣れた事業主

通常、税務調査は、税務署から事前通知がありお互いの日程を調整した上で行われますが、時には突然調査官がやってきて、事前通知なしで行われる無予告調査というものもあります。
中には一定期間に無予告で税務調査を行う場合もあり、税務調査に慣れている事業主さんも一定数いらっしゃいます。

税務調査官時代、そういった調査に慣れている方の事務所に伺った時、
「(ご自宅に)突然すみません。調査に伺いました。」
「あっ。そうですか。机とか金庫見るのでしょう。案内しますよ。」
「お店にも職員がお邪魔しているのですが。」
「おい、店長に税務署の人に対応する様に連絡して。」
何かをお願いする前にほとんど察知して協力していただいて、税務調査官としてはありがたいなと感じることもありました。

しかし、突然調査官がやってきた場合、誰でも落ち着いて対応できるとは限りません。(なりすましの可能性もあります。)
すぐに顧問税理士へ連絡し、顧問税理士が到着するまで待ってもらうか、日を改めてもらうことをお勧めします。

ガチャガチャの売上を計上していなかった店主

他に記憶に残っているのは、驚くほど正直な方のことです。
社長の奥様に立ち会っていただいたのですが、小売業をされていて、多種の商品を取り扱っているのにレジの区分は数種しかなく、果たしてきちんとレジを打っているのか確認が取れない状態でした。
その時、店舗の前にカプセルに入ったおもちゃの自販機(通称:ガチャガチャ)があったので、「ガチャガチャの売り上げはレジの何種にはいっていますか。」との回答に「レジには打ってないですよ。社長に渡しています。
では、売上には計上されてないのですか。
はい。」(法人税、消費税、源泉所得税の問題が発生します。

後から社長にどうしてそんな回答したのだ。と言われたそうですが「嘘は必ずばれる。正直に言わなければ。」と言われたそうです。


考えてみると現職時代に800件以上の調査に携わっていると思います。
そのたびに社長や経理担当の方に教えることもあれば教えられることもたくさんありました。
これは私の財産であり、この財産を顧問先様のためにこれから提供することが必要であると感じています。