鉄くずの売却収入【国税OB調査官時代の体験談】

OB税理士の占部です。

1月に「印紙税のお話」、
2月に「横領が発覚した話」をお話いたしましたが、
いかがでしたでしょうか。

今回は、製造業や建設業がメインとなりますが、
鉄くずの売却収入の計上漏れについてお話したいと思います。

鉄くずの売却収入は、計上漏れとなりやすい

現在はかなり改善されてきていると思われますが、
一時期は、鉄くずの売却収入の計上漏れが多く
税務調査官時代は
製造業や建設業の税務調査を行った時に
特に注意して調査した記憶があります。

金属加工の工程で出る”削りくず”や
“鉄板を切断した後の端材”を貯めておいて
定期的に回収業者が引き取りに来るのですが

業界の慣習で現金取引が主になっており、
自己申告しない限り計上漏れとなるケースが目立ちました。

税務調査時に重加算税がかかることも

金属の値段は上下しており、
特に需要が高まった時には、かなりの値をつけることがあります。

町から金属製品が盗られたり
工事現場から鉄板や銅線が盗まれたりしたニュースを
耳にした方もおられると思います。

実地調査で工場や作業場に臨場し説明を受ける時に、
削りくず等が入った金属の箱を見つけた時には
必ず雑収入に計上されているかチェックをしていました。

雑収入に計上されていない場合回収業者がどこなのか、
金額がわかる書類があるのか確認し金額が不明な場合は
反面調査を行って把握することとなります。

あとは、売却収入がどのように使われたかで処分が変わります。
処分の内容によっては重加算税対象になります。
当然消費税や源泉所得税の問題も発生する可能性があります。

現金の問題であることから
会社内部で嫌な思いをすることもありますので、
適切に処理したいところです。