国税OB税理士の日高です。
無申告法人への税務調査についてお話しいたします。

この投稿でわかること

  • 無申告法人には、過少申告加算税よりも高い無申告加算税が課される。
  • 無申告法人への税務調査は前年比増。
  • 「無申告法人への税務調査」は、国税局が特に力をいれている。
  • 税務調査官はネットやSNS等でも情報収集を行っている。
  • 税務調査が来た時は、税理士へすぐに連絡を。

無申告法人には、過少申告加算税よりも高い無申告加算税が課される。

法人を設立した場合、法人税の申告は必須です。
しかし、申告を行わず納税を免れている法人が後を絶たず、このような法人を「無申告法人」と呼びます。

「無申告は、申告納税制度の根幹を揺るがすことになり、善良な納税者に不公平感を与える」として、国税当局も積極的に税務調査を実施しています。

税法上のペナルティとして、申告そのものがないケースでの無申告加算税は、申告内容に誤りがあった場合の過少申告加算税に比べてより高い金額となります。

無申告法人への税務調査は前年比増

令和4年度の無申告法人の実地調査件数は、前年対比110.1%の1,632件、消費税の無申告法人の実地調査件数は、前年対比112.0%の1,370件と確実に増加しています。調査による追徴税額も前年対比115.8%の200.2億円となっていますので、今後も新型コロナの影響を考慮した上で無申告法人への税務調査件数は増加するものと思われます。

また、不正計算のあった件数は、法人税で364件(調査件数全体の22.3%)、消費税で309件(調査件数全体の22.5%)であり、5件のうち1件強で不正が発見されており、今後も厳格な税務調査が行われることが考えられます。

過去3か年分の無申告法人に対する税務調査(実地調査)

過去3か年分の無申告法人に対する実地調査の状況は、下の表のとおりです。

 

令和2 令和3 令和4 単位
法人税 実地調査件数 1 1,416 1,482 1,632
うち不正計算があった件数 2 278 326 364
不正発見割合(2/1) 3 19.6 21.2 22.3
調査による追徴税額 4 5,143 9,061 9,476 百万円
うち不正計算よる追徴税額 5 3,307 6,322 6,059 百万円
消費税 実地調査件数 6 1,178 1,223 1,370
うち不正計算があった件数 7 229 267 309
不正発見割合(7/6) 8 19.4 21.8 22.6
調査による追徴税額 4 11,038 8,231 10,544 百万円
うち不正計算よる追徴税額 5 6,151 3,638 4,668 百万円
調査による追徴税額 4 16,181 17,292 20,020 百万円
うち不正計算よる追徴税額 5 9,458 9,960 10,727 百万円

(参考資料 令和4事務年度 法人税等の調査事績の概要 – 国税庁 )

「無申告法人への税務調査」は、国税局が特に力をいれている。

国税当局は、税務調査を実施する上で特に重要な取組として、3つのテーマを挙げています。

そのうち一つが無申告法人に対する取組です。

  1. 消費税還付申告法人に対する取組
  2. 海外取引法人に対する取組
  3. 無申告法人に対する取組

 

税務調査官はネットやSNS等でも情報収集を行っている。

中でも、消費税が発生するような1千万円以上の売上があると思われる無申告法人に対しては、たとえ法人税申告が赤字であったとしても、徹底した調査が行われています。

税務調査官は、無申告法人に対する税務調査のために、以下のようなものを糸口として情報収集をしています。

  • ネットやブログ等のSNSのチェック
  • 金融機関等への照会
  • 店舗・事務所への内偵・外観調査
  • 無申告法人と取引のある業者の申告書に添付されている付属明細書等のチェック
  • 市役所等、地域情報に詳しい地方団体へ情報収集の依頼
  • リサーチ会社へ法人実態の調査依頼

税務調査が来た時は、税理士へすぐに連絡を。

税務調査の事前通知が来た方へ

税務署からの税務調査に関する事前通知は、通常、顧問税理士あてにあるものですが、場合によっては、直接会社に連絡されることもあります。
直接会社に連絡があった場合には、落ち着いて次の事項を伝え聞きメモなどしておいて顧問税理士にお伝えください。

1.税務調査で予定している日時、調査日数や調査官の人数
2.税務調査をする理由
3.調査官の役職や所属部署

予告なしで突然税務調査が来た方へ

無予告で突然税務調査が来る場合もあります。
しかし、最近では税務職員のなりすましもいます。必ず身分証の確認を行いましょう。
身分証明書は、顔写真付きで所属税務署、所属部門・課、官職が記載されていて、質問検査章には調査できる税目が書いてあります。(当然、質問検査章に記載されていない税目は調査することはできません。)

また、突然調査官がやってきた場合、誰でも落ち着いて対応できるとは限りません。
すぐに顧問税理士へ連絡し、顧問税理士が到着するまで待ってもらうか、日を改めてもらうことをお勧めします。

税理士法人武内総合会計では、税務調査の立ち会いも対応しています。
税務調査対応に関する詳細はこちらからご確認いただけます。
もし、顧問税理士がいないのに税務調査が来てしまった等、お困りのことがありましたらご相談いただければ幸いです。


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