はじめに
はじめまして。OB税理士の占部と申します。
国税局、税務署を約40年勤めて税理士として現在奮闘中です。
税務の現場で経験したことや聞いたことを簡単にお話してまいります。
文章が下手で上手くいくか不安でありますがお時間が取れるときに読んでいただければ幸いです。
まずはなじみが薄い「印紙税」についてご紹介したいと思います。
目次
「印紙税」の税務調査と過怠税
「印紙税」も税務調査の対象となります。
(法人の一般調査は法人税、消費税、源泉所得税及び印紙税の税目が調査対象です。)
法人税、消費税及び源泉所得税の調査に関しては
従来から変わらぬ方法で、
帳簿調査や請求書及び領収書等の書類から調査を行っています。
印紙税については近年税務当局も力を入れており、
契約書の綴りを確認して最低200円の印紙の貼付漏れであっても
「印紙税不納付事実申出書」の提出を指導され
1.1倍の過怠税を納付することもあります。
自動販売機の設置契約書に印紙は必要?
飲料の自動販売機の設置契約書は、印紙税で指導されるよくある例です。
職員の福利厚生として施設内に自販機を設置している会社は多いと思いますが
設置契約書に印紙は必要でしょうか。
面白いことに設置場所によって変わってきます。
「敷地」である場合「土地の賃貸借権の設定に関する」契約書(第1号の2文書)に該当し契約金額の記載のない契約書として200円の印紙税が課され、
「建物」である場合には第1号の2文書に該当せず課税対象外となり印紙税は課されない事となります。
税務調査時「工場内(倉庫内)を見せていただけますか。」は在庫状況の確認もありますが、割と新しい自販機があればチェックしています。
印紙のよくある勘違い
レシート
課税文書の枚数で印紙税が課される場合もあります。一番身近なのは領収書です。
現在、5万円未満(私が担当していた時代は3万円未満)は非課税となっていますが、
勘違いが多かったのはレシートだった記憶があります。
「レシートは明細書で領収書ではありませんよ。」と言われた事があったのですが、「いいえ、違います。」
一般に領収書と言われるものは17号文書であり、「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」(クレジット決済は除きます。)と明記されておりレシートも立派な課税文書です。
「レシートはどうされましたか。」の問いに「領収書と一緒にお客さんに渡しました。」の答え。
レシート全てが印紙の貼付漏れとなっていました。
「200円かぁ。」と安心はできません。
発行枚数が多ければその枚数×金額×3年となりますので
年間1,000枚発行し200円の印紙の場合には、
200円×1.1倍×1,000枚×3年=660,000円の過怠税がかかってくると同時に、
法人税では損金にならないため所得金額に加算されます。
また、印紙をコピーして貼付をしなかった場合等は悪質と見られ1.1倍が3倍となり
上記の例であれば1,800,000円の過怠税が発生します。
間違えて貼ってしまった印紙は、勝手にはがしてはいけない
なお、印紙と切手はよく似ているため間違って貼った印紙を水につけてはがすことも厳禁です。
必ず誤って貼付した文書を持参し、税務署で還付申請の手続きをとりましょう。
覚書にも印紙の貼付が必要ではないか、注意しましょう。
課税文書の可否判定においては、契約書であれば気を付けて「印紙の貼付が必要ではないか。」と注意する方が多いと思いますが、覚書等の表題であればあまり気にされる方は少ないかと思われます。
印紙税法上表題は問題とせず何が書かれているかを重視します。
印紙税の指導(調査)担当は大規模署に配置されており、指導(調査)を行う場合は担当者が直接法人等に連絡します。印紙税は税理士の守備範囲外なので「通常調査のお知らせは税理士さんからお話があるのに今回はなぜ?」と心配される納税者の方が逆に税理士に連絡してくるパターンが多いようです。
印紙税は元々オランダで考案され、戦費の徴収を目的に日本でもできた税目です。
文書に課税されるため容易に税収が確保できるので、現在でも税収の1%程を占める状況になっています。
(年々課税文書から非課税文書になっている傾向はあります。)
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