博多港にコンテナやコンテナクレーンが並んでいる風景

こんにちは。国税OB税理士の日高です。

経済取引のグローバル化が急速に進んでいる中、海外取引を行う企業が増加
海外取引を行う企業の増加に伴い、税務署側も海外取引上で生じる課税漏れや脱税に対して、厳しい目を光らせています

今回は「海外との取引がある法人の税務調査」についてお話しいたします。

この記事でわかること

海外取引を行う法人の税務調査でよくある不正と誤り

海外取引上、主に検討されている税法は、法人税、消費税、源泉所得税です。

海外取引法人の法人税

海外取引を行う法人に対する調査では、次のような不正や誤った事例が散見されます。

輸出入を行う法人の場合

  1. 輸出売上やコミッション収入を個人預金などに入金させ売上を除外する。
  2. ペーパーカンパニーや存在しない取引先を利用して仕入科目や経費科目で架空や水増しを行う。
    なお、税務当局は、ペーパーカンパニーや存在しないと思われる不審な取引先が発見された場合には、ダン・レポート(海外の民間情報機関)などを利用して信用調査を実施しています。
  3. 交際費等で処理すべき現地での謝礼金、コミッション、市場調査費、情報提供料等を交際費以外の経費科目で処理して、支払い額の全額を損金で処理する。(海外の取引では、現地の関係者から多額の謝礼金や受注工作資金等を要求されることが多々ある。
  4. アンダーバリュー取引を利用して売上金額を過少に申告する。(アンダーバリュー取引とは、関税を安くするため、実際の価格より低い金額でインボイス(契約書)を作成する取引)
  5. オーバーバリュー取引により仕入れの水増しを行う。(オーバーバリュー取引とは、実際の価格より高い金額でインボイス(契約書)を作成する取引。インボイス(契約書)に記載された代金を海外送金し、水増し金額は、一旦プールやストックし、その後、日本国内に持ち込む。)
  6. 仕入に計上した海外での預け在庫や船上の積送品、未着品が棚卸計上漏れとなっている。
  7. 外国為替レートが正しく計算されていない。

海外に子会社やグループ企業がある法人の場合

  1. 『タックスヘイブン対策税制』を検討した上で課税されていない。(『タックスヘイブン対策税制』とは、外国会社を利用した国際的な租税回避に対処するために、外国子会社の所得をその株主の所得とみなして合算し日本国内で課税する制度。)
  2. 『移転価格税制』を検討した上で課税されていない。(『移転価格税制』とは、海外の関連会社間の取引価格を適正に設定することで、企業の所得移転や租税回避を防止する制度。)

海外取引法人と源泉所得税

源泉所得税は、給料から天引きされるものが一般的ですが、海外取引においても、源泉徴収が必要な場合があります。

日本企業から海外の取引先へ支払う場合

海外への支払いで源泉徴収が必要となってくる代表的なものは次のとおりです。

  • ロイヤリティの支払い
  • 日本国内で役務提供が行われる場合のコンサルティング料の支払い
  • 日本国内で行われる不動産賃貸の不動産賃料の支払い
  • 配当や借入利子の支払い

海外の企業が払うべき源泉所得税の事務の手続きとしては、日本の企業が(海外企業に)支払う金額から源泉所得税を徴収して所轄の税務署に納付しなければなりません。

よって、海外企業が受け取る売上等の金額は、源泉所得税分だけ少なくなるわけですから、トラブルを避けるためにも日本国内での源泉徴収の義務を契約時に説明しておいたほうがよいでしょう。

また、相手国によっては、海外企業が自国で申告をする際に、日本で源泉徴収された税額を税額控除できることがあり、納税に関する書類の提出を依頼される場合があるので、日本の企業は、納税に関する書類は確実に保管しておいてください。

中には相手先から納税証明書の発行を依頼されることがありますので、依頼があった場合には、源泉徴収税額を納めた税務署に証明書の交付を依頼してください。

海外の取引先から日本企業へ支払う場合

日本の企業が海外企業に支払う際に源泉徴収するように、海外の取引先から日本の企業に支払う際も海外で源泉徴収されるケースがあります。
代表的な取引については、海外に送金する場合と基本的には同じです。

  • ロイヤリティの支払い
  • 日本国内で役務提供が行われる場合のコンサルティング料の支払い
  • 日本国内で行われる不動産賃貸の不動産賃料の支払い
  • 配当や借入利子の支払い

日本においては、「国際間の二重課税」を解消するため、外国税額控除という制度を設けています。

外国税額控除は、外国で納めた税金を日本で納付する法人税から差し引ける制度です。

一定の計算式で計算された控除限度額の範囲内で、日本の法人税から控除することができます。

「海外取引法人への税務調査」は、国税局が特に力をいれている

国税当局は、税務調査を実施する上で特に重要な取組として、3つのテーマを挙げています。

そのうちの一つが「海外取引法人」に対する取組です。

  1. 消費税還付申告法人に対する取組
  2. 海外取引法人に対する取組
  3. 無申告法人に対する取組

税務署や国税局には、国際税務を担当する「国際税務専門官」が配置されています。
国際税務専門官は、単独での調査を行うだけではなく、一般の税務調査官にも同行して専門的視野からの調査も行っています。

海外取引を行っている法人の申告書作成には、専門的な税法の知識や経理処理が必要となってきます。
一旦間違いが発見されると追徴税額も多額となることも少なくありません。

海外取引をされている方が顧問税理士を選ぶ際は、海外取引の税務に詳しい税理士・税理士法人をお選びください。

税務調査が来た場合の対応

税務調査の事前通知が来た方へ

税務署からの税務調査に関する事前通知は、通常、顧問税理士あてにあるものですが、場合によっては、直接会社に連絡されることもあります。
直接会社に連絡があった場合には、落ち着いて次の事項を伝え聞きメモなどしておいて顧問税理士にお伝えください。

1.税務調査で予定している日時、調査日数や調査官の人数
2.税務調査をする理由
3.調査官の役職や所属部署

予告なしで突然税務調査が来た方へ

無予告で突然税務調査が来る場合もあります。
しかし、最近では税務職員のなりすましもいます。必ず身分証の確認を行いましょう。
身分証明書は、顔写真付きで所属税務署、所属部門・課、官職が記載されていて、質問検査章には調査できる税目が書いてあります。(当然、質問検査章に記載されていない税目は調査することはできません。)

また、突然調査官がやってきた場合、誰でも落ち着いて対応できるとは限りません。
すぐに顧問税理士へ連絡し、顧問税理士が到着するまで待ってもらうか、日を改めてもらうことをお勧めします。

税理士法人武内総合会計では、税務調査の立ち会いも対応しています。
税務調査対応に関する詳細はこちらからご確認いただけます。
もし、顧問税理士がいないのに税務調査が来てしまった等、お困りのことがありましたらご相談いただければ幸いです。


税理士法人武内総合会計
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