今回は、経営者や給与計算事務者向けに「日雇い労働者の源泉徴収の注意点」についてお話しします。

【原則】日雇い労働者も源泉徴収は必要

建設業などで日雇い労働者いわゆる単発バイトの人に対して給与を支払う場合が、多く見られると思います。
その際の源泉徴収についていくつか注意点があります。

まず原則、日雇い労働者に対しての給与であっても源泉徴収は必要です。
通常の従業員への給与と同様に源泉所得税を預り、納税をする必要があります。

この源泉徴収税額を計算する際、正社員などは給与所得の源泉徴収税額表のうち月額表を利用しますが、日雇いの場合には「給与所得の源泉徴収税額表(日額表)」を活用します。
この日額表は、1日の給与等の金額に対する源泉徴収税額が記載されているもので、インターネット上で検索をすると国税庁が毎年公表しているものが見つかります。

令和6年分源泉徴収税額表

「甲・乙・丙」とは

日額表には「甲・乙・丙」があり、
給与等の別、「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出の有無及び給与等の支給方法に応じ適用されるものが異なります。甲は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出がある人に適用され、乙はその提出がない人、そして丙は日雇賃金を支給する人に適用されます。
現在の日額表を基に考えると、丙欄適用の人は、1日あたりの給与が9,300円未満であれば源泉徴収は不要ということになります。

「丙」の要件

上記で丙欄適用の人は、1日あたりの給与が9,300円未満であれば源泉徴収は不要になると記載しました。しかし、税庁のタックスアンサー№2514にある通りこの丙欄を適用できる要件が決まっており、次のいずれかの要件に当てはまるときには丙欄を適用することとされています。

① あらかじめ定められている雇用契約の期間が2か月以内であること。
② 日々雇い入れている場合には、継続して2か月を超えて支払をしないこと。

ここで注意したい点が2か月を超えて支払をしないことという点です。もし最初の契約期間が2か月以内の場合でも、雇用契約の期間の延長や、再雇用により2か月を超えた場合は、2か月を超えた日から丙欄を適用することができなくなります。

まとめ

  • 日雇いの場合、丙欄の人であれば1日あたりの給与が9300円未満であれば源泉徴収不要。9,300円以上の場合、給与所得の源泉徴収税額表―日額表を使用し源泉徴収を行う。
  • 丙欄を適用するには、雇用契約の期間が2か月以内であること、または日雇いの場合、2ヶ月以上継続して支払がないことに注意。