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こんにちは。税理士の日高です。
法人企業の経営者様・経理担当者様に向け、シリーズでお伝えしている「税務調査対応のポイント」について
今回は「税務調査当日に気を付けること」についてお話いたします。

この記事でわかること

  • 質問検査権とは、税務職員が税務調査の際に納税者や税理士に対して質問や検査をできる権利をいう。
  • 納税者には受忍義務があり、税務調査自体を拒否することはできない。理由のない調査拒否、不当な検査拒否、質問不答弁、虚偽答弁等に対しては、罰則が適用される。
  • 調査官は、「身分証明書」と「質問検査章」を携行しているので必ず確認する。なお、「質問検査章」には調査対象となる税目が記載されてある。
  • 時間等の約束事は厳守し、穏やかな対応に心掛ける。時間にルーズな納税者や横柄な態度の納税者は信頼度が下がる。
  • 税務調査を早く終わらせるには、調査に対する協力を伝えて態度で示し、調査を早く終了してもらえないかと申し出る。

(基本的に)税務調査は拒否できない

税務調査は、税務職員が持つ質問検査権という権利と納税者が税務調査に応じなければならないという受忍義務の下に行われます。その権利と義務は、ともに税法に定められており、税務調査は、基本的に拒否することはできません。理由のない調査拒否、不当な検査拒否、質問不答弁、虚偽答弁等に対しては、罰則が適用されます。

しかしながら、「納税者は税務署員の言うことを何でも全て聞き入れなければならない」というわけではありません。できる範囲で税務職員の要望に応え適切な対応をしていれば大丈夫です。
対応の仕方に困った場合は、税理士に相談するのもよいでしょう。

なお、一般的な税務調査(マルサなど強制調査は除く。)は、税務職員の物理的な強制行為を認めておらず、税務職員は納税者の承諾なしに勝手に机・金庫・キャビネット・バック等を開けることはできません。

“身分証明書”と”質問検査章”を必ず確認しましょう

税務職員は、税務調査の際には質問検査権の行使のために必ず身分証明書及び質問検査章を携行していなければなりません。初回面接日には、この身分証明書等の確認は必ず行ってください

納税者の求めに対して身分証明書等の提示が無い場合は、調査を受ける必要はありません。

身分証明書は、顔写真付きで所属税務署、所属部門・課、官職が記載されていて、質問検査章には調査できる税目が書いてあります。(当然、質問検査章に記載されていない税目は調査することはできません。)

最近では、税務職員のなりすましもいます。この身分証明書等は、必ず確認してください。
税務調査には、何の前触れもなく抜き打ち的に行われる事前通知なしの調査や反面調査(取引先等の調査)もありますが、その際にもこの身分証明書等の確認は必ず行ってください。

調査当日は余裕をもって時間厳守で

調査官が来社する時間は、事前通知の際に伝えられていますので、余裕をもって時間厳守で調査を受ける体制を整えておいてください。納税者の方は、調査当日、調査官が来るまで相当緊張されると思いますが、それは、調査を実施する調査官も同じです。元税務職員である私自身も40年近く調査に携わりましたが、調査初日は、毎回不安がいっぱいで大変緊張していました。緊張や不安を取り除くためにも何事も余裕をもって臨み、第一印象を良くして、落ち着いて穏やかに対応していけば調査はスムーズに進行していきます。

税務調査を早く終わらせるには

税務調査で調査官が会社に訪問するのは、通常2日~4日間です。
あらかじめこの日数は、調査官から会社に伝えられています。しかし、この日数は、あくまでも目安です。調査官の裁量により短くなることもありますし、場合によっては延長されることもあります。納税者にとっては、否認されるリスクや通常業務へ集中するためにもできるだけ早く終わってもらいたいというのが本音です。では、どうしたら短くなるのでしょうか。

調査官は、調査の際に多くの帳簿や証拠書類(請求書、領収書、契約書等)の提出を会社に求めてきます。
場合によっては新規に書類作成を求めてくる場合もあります。また、証拠保全、事後の検討、上司への報告等のために、証拠書類(請求書、領収書、契約書等)のコピーを依頼してくる場合もあります。このように、調査官は、調査中、会社へ色々な要求や依頼をします。

そこで、調査を受ける法人はどう対応したらよいかということです。

原則(任意調査を逸脱したことを要求されたときは除く。)、調査官からの要求や依頼については、協力的に速やかに対応してください。速やかに対応するということは、結果的に調査日数の短縮に繋がります。また、協力的な対応は、会社への好印象にも繋がります。調査官も人間ですから協力的であれば好印象を持ち、問題事項が発生した時でも柔軟に対応してくれるはずです。例えば、軽微な税法上の解釈誤りや少額な否認であれば、修正申告を求めるのではなく指導として処理してくれるかもしれません。また、協力的な対応や速やかな対応で「この会社は対応が誠実だし、求めた要求にも素早く対応している。信頼のおける会社でこれ以上調査をやっても誤りがある可能性は低い。」との思いが発生し、当初予定していたすべての検討も行わないかもしれません。
当然、調査に対する協力を伝え、態度で示し、調査を早く終了してもらえないかという申し出は必ず行ってください。
調査を行う日数は、調査官の裁量にゆだねられている部分が大きいので、法人の対応の仕方によって調査日数が短くなるケースは、決して珍しいことではありません。
当事務所では税理士(国税OB含む)をはじめその他の会計スタッフが、お客様の税務調査対応をご支援しますので、税務調査の際にはご相談ください。

次の記事:追徴税額の減額交渉-税務調査を受けるときの目標01

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