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税務調査の対象となりやすい会社について
こんにちは。税理士の日高です。
「税務調査への対応のポイント」を数回に分けてお話していますが、
皆様は「どのような会社が税務調査の対象となりやすいか」ご存じでしょうか?
税務署はすべての会社に対して税務調査を実施することは不可能です。
よって、まず修正事項が想定されやすい会社の絞り込みを行います。
どのようにして調査の対象となる会社を絞り込むかについて解説したいと思います。
税務調査対象者を絞り込む流れ
まず、調査対象者の絞り込みは、直前3期の決算数値の検討から始まります。
検討される項目は、利益率、原価率、経費率、同業他社比較、前年対比等です。
そして、利益率・原価率等などの経営分析値に異常な数値がある場合や
経費科目に多額の金額が計上してある場合には、
否認(指摘)事項を想定してその金額の計上に疑いを持ちます。
当然、疑われる金額が大きく、
また、疑問点が多い会社ほど税務調査の対象となりやすくなります。
そこで想定内容をいくつか挙げてみましょう。
税務調査の対象となりやすい例 01:利益率
-
- 各期において売上総利益率や営業利益率に大きな変動がある場合や同業者他社と比較
して大きな差がある場合
→ 売上除外や架空経費を想定する。
- 各期において売上総利益率や営業利益率に大きな変動がある場合や同業者他社と比較
税務調査の対象となりやすい例 02:原価率
- 原価率に各期変動がある場合
→ 棚卸額での調整、架空原価を想定する。
税務調査の対象となりやすい例 03:経費
- 自社従業員の給与や同業他社の役員報酬と比較して
親族等に多額の給与や役員報酬を支給している場合
→ 過大な(適正でない)給与や役員報酬を想定する。 - 人件費率が同業他社と比べて高い場合
→ 架空人件費を想定する。 - 交際費が突出して多い場合
→ 役員の私的な支払い(個人経費のつけ込み)を想定する。 - 保険料の計上額が大きい場合
→ 資産計上(損金に計上できない)にすべき保険積立金の計上を想定する。 - 修繕費が多額に計上されている場合
→ 資本的支出(資産計上すべきで一括損金に計上できない経費)を想定する。 - 決算日に近い日付で損金に計上されていて、しかも、未払金となっている経費がある
→ 利益調整のための架空計上を想定する。
税務調査の対象となりやすい例 04:営業外・特別損益項目
- 多額の除却損や貸倒損失が計上されている場合
→ 利益調整の為の架空計上を想定する。
税務調査の対象となりやすい例 05:その他
-
- 役員が多額の資金を会社に提供している場合
→ 役員が不当な利益を簿外で得ていないか想定する。 - 売上金額が大きい会社
業種にもよるが、売上金額が大体3億~5億以上の会社 - 黒字経営を維持している会社
- 欠損決算や黒字決算を繰り返し行っている会社
(繰越欠損金控除を利用することで税金が発生していない会社) - 急成長した会社
- 5年以上税務調査を受けていない会社
- 現金売上を主体としている会社
- 関連法人(役員が同じ会社)を有している会社で、関連法人間で取引や資金交流がある会社
- 過去の調査で多額の修正や不正事項を指摘されている会社
- 国税庁が発表している『法人税等の調査事績の概要』中で、不正の多い業種
(飲食業、医療関係業、土木工事業) - 海外と取引のある会社
- 無申告となっている会社
- 消費税申告で還付金を受けている会社
- IT関連業の会社
- マスコミなどで話題となっている会社
- 従業員や取引先とトラブルがあった法人
- 部外情報(タレこみ情報)が多い会社
- 役員が多額の資金を会社に提供している場合
以上、いくつかの例を挙げましたが、
想定される否認(指摘)事項や該当している項目があっても、
正当な理由があり、適正な申告を行っていれば税務調査は怖くありません。
当事務所では税理士(国税OB含む)をはじめ
その他の会計スタッフが、お客様の税務調査対応をご支援しますので、
税務調査の際にはご相談ください。
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