福岡市中央区の税理士事務所 税理士法人武内総合会計です。

令和3年12月10日に令和4年度税制改正大綱が公表されました。

税制改正大綱とは、各省庁からあがる税制改正の要望などを受け、与党の税制調査会が中心となって翌年度以降の税制改正の方針をまとめたものです。(まだ国会で成立していません)

今回は、この「令和4年度税制改正大綱について」お話いたします。

この投稿でわかること

税制改正の流れ

そもそも、我が国での税制改正は租税法律主義の下、以下の流れで行われます。

  • 8月:各省庁から財務省に税制改正要望が提出される
  • 12月:与党税制調査会が税制改正大綱を発表
  • 1月:閣議決定
  • 2月:内閣が国会へ法案を提出し、国会で審議
  • 3月:改正法案が成立

今回発表された「令和4年度税制改正大綱」は、12月10日に自由民主党と公明党の制調査会が発表したものです。

この投稿で紹介する内容は、国会で関連税制法が成立することが前提となります。

令和4年度税制改正大綱の概要

今回の税制改正大綱では

  1. 成長と分配の好循環の実現
    積極的な賃上げ等を促すための措置、オープンイノベーション促進税制の拡充等
  2. 経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し
    個人所得課税、相続税・贈与税等
  3. 国際課税制度の見直し
  4. 円滑・適正な納税のための環境整備
    適格請求書等保存方式への円滑な移行、税理士制度の見直し等

等の改正が盛り込まれています。

その中でも、特に注目をしたいのが住宅ローン減税の見直しと賃上げ促進税制の拡充です。

令和4年度税制改正大綱の注目点

住宅ローン減税の見直し

住宅ローン減税は期限が4年間延長されます(入居期限が2021年12月31日から2025年12月31日に)。
ただ、控除率は引き下げとなります(年末の住宅ローン残高の1%から0.7%に)。
その他、新築の場合の控除期間13年は令和5年入居まで延長(令和6年・令和7年居住の場合は10年)、減税の対象となる人の所得が3,000万円以下から2,000万円に引き下げ等も行われます。

【関連記事】【2022年版】住宅ローン控除について(新築住宅の契約日が令和3年10月1日以降)

賃上げ促進税制の拡充

積極的な賃上げを促すため、賃上げに関する税制措置が強化されます。
賃上げ促進税制では、賃上げの大きさに応じて控除率を段階的に引き上げており、大企業では最大30%の控除、中小企業は最大40%の控除となります。

【関連記事】賃上げ促進税制(中小企業向け)について

電子帳簿保存法の経過措置

電子取引の電子保存の義務化は予定通り令和4年1月1日より施行されます。
しかし、今回の税制改正大綱において、以下が公表されたことにより、2年間、納税者において「やむを得ない事情がある」と認められる場合には、書面での出力・保存が認められることとなりました。

令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについてやむを得ない事情があると認め、かつ、当該保存義務者が質問検査権に基づく当該電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする経過措置を講ずる。
(出典:令和4年度税制改正大綱)

【関連記事】令和4年1月1日から義務化される電子帳簿保存法についてよくいただく質問と令和5年までの経過措置

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