国税庁は、2024事務年度(2024年7月~2025年6月)における法人税等の実地調査事績の概要を令和7年12月2日に公表しました。

「税務調査は減っているのか?」
「調査件数が少ないのに、追徴税額が増えているのはなぜか?」

本記事では、最新データをもとに、法人税の税務調査の現状と今後の傾向について、税理士の視点でわかりやすく解説します。

実地調査の件数は減少傾向にあるが…

調査件数は、2023事務年度の5万9千件から5万4千件へと減少しました(対前年7.4%減少)。
1987年度には、1年間に20万件ほど調査が行われていましたが、それと比べると4分の1程度まで減少しています。
コロナ禍の影響を受けた時期を除けば、過去で最も少ない調査件数です。

調査件数が減少したからといって、調査に投下する事務日数が減ったわけではありません。
国税当局は、職員の1年間の事務計画を策定する際、調査日数の確保を最優先に考えています。

その中で調査件数が減少したということは、調査1件当たりに要する調査日数が増加していることを意味します。
現在、国税の調査担当者は、採用人数の関係から調査経験が5年未満の新人職員が主体となっています。
そのため、ベテラン職員と比べて効率的な調査が難しく、結果として調査1件当たりの調査日数が増え、全体の調査件数が減少していると考えられます。

もっとも、これらの新人職員も徐々に実力をつけていくはずですので、現在の過渡期を過ぎれば、調査件数は再び増加していくものと思われます。

実地調査の件数は減少したが、追徴税額は増加している

調査件数は減少したものの、追徴税額は増加傾向にあります。
実地調査による追徴税額の総額は3,407億円(対前年+6.6%)、調査1件当たりの追徴税額は6,342千円(同+15.4%)となっています。
なお、調査1件当たりの追徴税額は、直近10年で2番目に高い水準です。

税務調査の目的は、調査件数そのものではなく、課税漏れとなっている税金を的確に把握することにあります。
その意味では、国税当局の目的は一定程度達成されているといえるでしょう。

たとえ多額の申告漏れを発見したとしても、欠損金の影響などにより実際の追徴税額が伴わなければ、実務上の意味は限定的です。
かつては課税漏れの所得金額(増差所得)を重視する傾向もありましたが、現在は追徴税額(増差税額)を重視する姿勢が明確になっています。

不正所得(重加算税対象)の発見割合が増加している

先述のとおり、調査件数は前年より減少しているものの、不正が発見された件数および不正所得金額は、いずれも前年を上回っています。
国税庁は、大口かつ悪質な不正計算が想定される法人を「調査必要度の高い法人」と位置づけており、今後もこの方針が変わることはないと考えられます。
調査官に対しては、「不正所得の発見」が強く求められており、その成果が高い調査官ほど、優秀な調査官として評価される傾向にあります。

不正発見割合(不正件数/調査件数)

・2023年度:22.3%
・2024年度:23.5%

なお、法人税に特化した調査における比較数値は、下記のとおりです。

不正1件当たりの法人税不正所得金額

・2023年度:約2124万円
・2024年度:約2336万千円

引用元:国税庁サイト「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」

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