「代表者に関する事項」は何のために記入するのか?

OB税理士の占部です。

私が税理士となり後輩である税務署の調査官の調査に立ち会う際、今でも法人の代表者にお願いされるのは「代表者に関する事項」という代表者のことを記載する書類です。

私は現役時代しばらく書いていただいたことはありません。書式を見ていただければわかるのですが家族構成や代表者名義の預金状況等、税務署が調べればわかることをなぜ書かせるのか疑問を感じたからです。

おそらくこの書類、本来は代表者の筆跡をとるために考えられたと思うのですが(代表者が架空の名前を使って手書きで領収書等を作成することが過去にあったようです。)、この2、30年手書きの書類がほとんどなくなりました。ですから、今では利用頻度がかなり少なくなった書類だと思います。「私が代わりに書いておきます。」と代表者の奥様が代筆するとなると全く意味がありません。(ご夫婦で協力して不正計算していれば別ですが。)今でも続いているのはなぜか疑問に思えます。おそらく、先輩から言われて何のために記載依頼しているのかわかっていないのではと思うことがあります。

平成23年の通則法改正による調査手続きの明確化

今では浸透してきましたが、平成23年の通則法改正による調査手続きの明確化です。それまでは調査担当者が関与税理士等に日程調整だけ行い調査を行っていましたが、この改正で調査税目や調査対象期等の細かい事項まで宣言しなければなりません。

若い調査官は採用されて初めからこの制度に慣れていると思われるのですが、昭和時代に採用された人間にとっては少々抵抗がありました。今となっては宣言を受ける身となったのであまり気になることではなくなりました。本来なら調査担当者が税理士に宣言しなければいけないと思いますが、たまに関与している税理士法人(税理士事務所)の事務担当者に宣言して終わっていることもあるようです。


日本国内でご商売又は会社を経営されている方にとっては、お辞めになるまではずっと税務署と付き合わなければなりません。その橋渡しを担うのが税理士法人(税理士)です。困ったことがあれば遠慮せずにお気軽にご相談いただければと思います。