こんにちは。税理士の日高です。
法人企業の経営者様・経理担当者様に向け、税務調査対応のポイントをお伝えしています。

今回は、先日公開された「令和4年事務年度における法人税の実地調査実績」についてお話しいたします。

この記事でわかること

  • 調査対象となる期間
  • 実地調査の件数は急増。今後もコロナ禍前の水準まで増加すると思われる。
  • 4件のうち3件は間違いを指摘されている。
  • 重加算税の対象となる不正所得が発見された割合は「5件に1件」

調査対象となる期間

令和4事務年度(※)における法人税等の調査事績が、令和5年11月29日付で国税庁のHP上に公表されました。
令和4事務年度の調査事績は、令和4年2月1日から令和5年1月31日までの間に事業年度が終了した法人を対象に、令和4年7月から令和5年6月までの間に実施した調査に係るものです。

実地調査の件数急増。今後もコロナ禍前の水準まで増加すると思われる。

まず、実地調査の件数ですが、前年対比152.3%増の62千件数と急増しています。これは、新型コロナの沈静化に伴い調査件数が増加したものです。新型コロナが発見される前の平成30年度の調査件数は、99千件であったことから、今後も新型コロナの状況を踏まえ調査件数は増加すると思われます。

4件のうち3件は間違いを指摘されている。

税務調査より間違いを指摘された非違件数は、47千件と全体の調査件数の75.8%を占めており、前年同様4件のうち3件は間違いを指摘されています。

調査1件あたりの増差所得は12,570千円と前年対比91.9%と減少しています。

令和3 令和4
実地調査件数 41千件 62千件
非違があった件数 31千件 47千件
申告漏れ所得金額 6,028億円 7,801億円
調査1件あたりの 申告漏れ所得金額(増差所得) 14,788千円 12,570千円
調査1件あたりの追徴税額 3,528千円 3,010千円

 

不正所得が発見される割合は「5件に1件」

重加算税の対象となる不正所得が発見された割合は、20.7%で前年対比▲2ポイントとわずかに減少していますが、5件のうち1件で不正が発見されており、いまだに高い割合となっています。

調査1件当たりの追徴税額は、3,010千円で前年対比85.39%と減少しています。

令和3 令和4
実地調査件数 41千件 62千件
不正計算があった件数 9千件 13千件
不正所得金額 2,208億円 2,744億円
不正1件あたりの 不正所得金額 23,833千円 21,366千円

 

過去3年間分 実地調査の状況

調査1件あたりの「増差所得」、「不正所得が発見された割合」、「調査1件当たりの追徴税額」、ともに前年のほうがやや高い水準ですが、これは、前年は新型コロナの影響で調査件数が減少した中で調査優先度の高い法人をピンポイントで調査したためと考えられます。

なお、過去3か年分の実地調査の状況は、下の表のとおりです。

令和2 令和3 令和4 単位
実地調査件数 1 25 41 62 千件
非違があった件数 2 20 31 47 千件
うち不正計算があった件数 3 7 9 13 千件
非違割合(2/1) 8 80.0 75.6 75.8
申告漏れ所得金額 4 5,286 6,028 7,801 億円
うち不正計算所得金額 5 1,460 2,208 2,744 億円
調査による追徴税額 6 1,207 1,438 1,868 億円
うち加算税 7 177 246 311 億円
不正発見割合(3/1) 8 26.5 22.7 20.7
調査1件当たりの申告漏れ所得金額(4/1) 9 21,168 14,788 12,570 千円
不正1件当たりの申告漏れ不正所得金額(5/3) 10 22,083 23,833 21,366 千円
調査1件当たりの追徴税額(6/1) 11 4,834 3,528 3,010 千円

 

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