こんにちは。税理士法人武内総合会計です。
12月に入り今年も残り少なくなってきました。

今回は税制改正により来年、2024年1月1日から変わる相続税・贈与税のことをお話していきます。

相続時精算課税制度の見直し

これまでの相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは贈与税の課税方法の1つです。
60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫に対して財産を贈与した場合に選択できます。
贈与財産の合計額が2,500万円以内であれば贈与税はかからず、2,500万円を超えた部分に対し一律20%の税率で贈与税を計算します。
相続時精算課税が適用された贈与財産は、相続税の対象に含められるため、贈与税の納付を相続時に先送りしているだけで、使い勝手の悪い制度と考えられていました

2024年から年110万円の基礎控除の創設

しかし、2023年税制改正において、相続時精算課税に基礎控除の創設が盛り込まれました。2024年1月1日以後の贈与については、毎年110万円まで贈与税がかからなくなります。相続税の課税対象にも含まれず、贈与税の申告も不要です。今後は、年110万円を超える部分の累計額について、特別控除額2,500万円が適用されます。
相続時精算課税制度の手続きは、この制度を選択する贈与を受けた年の翌年2月1日から申告期限の3月15日迄の間に納税地の所轄税務署長に対し「相続時精算課税選択届出書」を贈与税の申告書に添付して提出しなければなりません。

この改正は上の世代から早期の資産移転を促し、経済の活性化につなげる狙いがあります。
この制度の創設により贈与税・相続税の節税効果が期待できます。

暦年課税の相続税加算期間の延長

これまでの暦年課税

暦年課税も贈与時の課税方法の1つです。
1月1日~12月31日迄の1年間に受けた贈与財産の合計額をもとに贈与税額を計算しますが、先述の相続時精算課税制度を選択しない場合に暦年課税が適用されます。
暦年課税は、贈与額が基礎控除額年110万円の範囲内であれば贈与税がかかりません。
年110万円を超える場合は、超える部分の金額に応じて10〜55%の税率で贈与税額を計算します。
改正前は、贈与者の「死亡3年以内」に行われた贈与については、年110万円以内であっても相続税の課税対象に含まれていました。

2024年から相続税加算期間が死亡前7年に延長

2023年12月11日税制改正では、暦年課税の相続税加算期間が見直されました。2024年1月1日以後の贈与については、現行の「死亡前3年以内」から「死亡前7年以内」に延長されます。延長された4年間に受けた贈与のうち、総額100万円までは相続財産に加算されません。
暦年課税の相続税加算期間が4年間延長されたことで、今後は相続税の負担が増える恐れがあります。相続時精算課税との関係を理解して、有利な課税方法を選択する必要があるでしょう。

2023年で終わりとなる「住宅取得等資金の贈与の特例」

最後に、今年で終わりとなる贈与の特例があります。それは、住宅取得等資金の贈与の特例です。
この特例は、マイホームの購入・新築・増築資金を父母や祖父母が贈与した場合、最大1,000万円までが非課税になる制度ですが、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与とは違い期限の延長がされておらず今年の12月31日が適用期限となっています。
来年(2024年)3月15日までに、その家屋(新築)に居住すること等、受贈者の要件に該当しそうな場合は、期限ギリギリですが専門家に相談し住宅取得等資金の贈与を検討するのも良いかもしれません。
※贈与を受けた後、この特例の要件に該当しなくなった時は修正申告が必要となりますのでご注意ください。


今年の年末で終わる贈与の特例、そして来年から改正となった贈与の制度といった事柄をお話ししました。
少しでも次の世代へ上手に資産を残していくといったことが大切になっています。三代過ぎれば財産がなくなるという様な悲しいことが起きないように対策をしていきたいものです。


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