新聞、テレビ等でたびたび税務調査の結果が報道されますが、その際、「脱税、所得隠し、課税逃れ、課税漏れ、申告漏れ」等の用語が使用されています。
今回は、これらの用語について解説します。
まず、悪意性が高く、加算税等ペナルティが重い順に記載しますと
- 脱税
- 所得隠し、課税逃れ
- 課税漏れ、申告漏れ、申告誤り
となります。
1「脱税」とは
十分な内偵調査を行い、行為的にも、税額的にも重大な仮装・隠ぺいが想定されると、国税局査察部(通称マルサ)が査察調査を行います。(査察調査は、裁判所に令状請求した上で実施され、強制調査となります。)
この調査により、悪意性が高い税金逃れ(無申告も含む。)が発見されると脱税と表現されます。
重大な脱税行為が認められた場合には、国税局査察部は地検に告発し起訴します。裁判によって有罪になると、本税額、重加算税等の追徴課税に加え刑罰としての罰金が科せられ、場合によっては懲役刑も言い渡されます。
一般的には、国税局査察部が行った調査でしか脱税という用語は、使用されません。
(報道事例)
経費を架空計上して約5100万円を脱税したとして、東京国税局査察部が、〇〇会社「〇〇」(東京都中央区)と〇〇代表(〇〇歳)を法人税法違反容疑で東京地検に告発したことがわかった。告発は6月25日付。(2024年12月朝日新聞より一部引用)
2「所得隠し、課税逃れ」とは
国税局、税務署が調査を実施して、不正行為(仮装・隠ぺい)が発見された場合、新聞報道等では「所得隠し、課税逃れ」と表現されます。(無申告も含む。) 脱税行為として地検への告発には至りませんが、ペナルティとして増加した本税額に35~50%の重加算税が課されます、
令和6年11月に国税庁より発表された「令和5事務年度 法人税等の調査事績の概要」によると、全体調査のうち約22%で、この「所得隠し、課税逃れ」が発見されています。
(報道事例)
暗号資産をめぐる節税ビジネスなどを展開する東京 千代田区の会社が、機材の仕入れ額を計上する時期を意図的にずらし、所得を少なく見せかけていたとして、東京国税局からおよそ30億円の所得隠しを指摘されたことが関係者への取材で分かりました。(省略)
東京国税局が税務調査を行ったところ、マシンの仕入れ額の計上時期を利益が大きくなった時期に意図的にずらすなどして所得を少なく見せかけていたことがわかり、去年2月までの1年間で、およそ30億円の所得隠しを指摘し重加算税を含めて法人税およそ8億円を追徴課税したということです。(2025年6月 NHKNEWSより一部引用)
(報道事例)
新潟県と東京都に本社があった郵便発送代行業者の同じ代表者が、会社の購入した切手を換金しながら法人の利益として計上していなかったとして、関東信越、東京の両国税局が2社に約8億円の所得隠しを指摘していたことが16日、関係者への取材で分かった。代表者が私的流用した疑いがあり、2023年までの7年間に重加算税を含め約4億円を追徴課税したとみられる。(2025年6月共同通信より一部引用)
3課税漏れ、申告漏れ、申告誤り
意図的な租税回避が認められない、単純な経理ミスや法律解釈の違いによって発見された誤りは、「課税漏れ、課税漏れ、申告漏れ、申告誤り」と表現されます。
特に重い罰則はありませんが、追徴された本税額に10~15%の過少申告加算税が課されます。また、申告納税をしていなかった無申告者に対しては、15~30%の無申告加算税が課されます。
通常では、数億円以上の申告漏れ、申告誤りがあった場合に新聞報道等がされているようです。
(報道事例)
衣料品通販サイト運営会社「〇〇」創業者の〇〇氏(〇〇歳)の資産管理会社が、東京国税局から約4億円の申告漏れを指摘されたことがわかった。国税局は、支出の一部について知人に資金を渡す意図があったとし、経費計上できないと指摘したという。(省略)国税局は、この資金の流れは寄付にあたり、税負担を不当に減らす目的があったと指摘。経費計上は認められないと判断した模様だ。(2025年7月朝日新聞より一部抜粋)
(報道事例)
海外メーカーの希少性の高いスーパーカー数台を転売して得た利益などを税務申告していなかったとして大阪の医療法人の元理事長が東京国税局からおよそ5億円の申告漏れを指摘されていたことが関係者への取材で分かりました。(省略)
関係者によりますと、元理事長は、希少性の高いイタリアの高級車メーカー、フェラーリなどのスーパーカーを数台、個人で購入し、2023年12月までの4年の間に転売して利益を得ましたが、その所得などを申告せず、東京国税局などからおよそ5億円の申告漏れを指摘され、過少申告加算税を含めて3億円余りの追徴課税を受けたということです。(2025年6月NHKニュースより一部引用)
以上のように、新聞、テレビ等で税務調査の内容が報道される際は「脱税、所得隠し、課税逃れ、課税漏れ、申告漏れ」等の言葉の区別がされています。しかしながら、一部報道では、正しく使い分けがされていなくて、「所得隠し、課税逃れ」を「脱税」と表現している場合等もありますので、ご注意ください。