先月、岸田首相がニューヨーク証券取引所で講演を行い、
NISA(少額投資非課税制度)を恒久化することに言及したとして話題になっています。
今回はこの発言の意味や現在および再来年以降のNISA制度の概要についてご紹介したいと思います。
この投稿でわかること
- NISAとは:一定条件で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度である。
- ジュニアNISA:新規口座開設ができるのは2023年末まで。
- 新しいNISA:2024年1月開始。対象となる商品は二階建てで異なる。
- 岸田首相が「NISAの恒久化が必須である」と発言。
将来の税制改正でNISAがより使いやすくなることが期待される。
NISAとは
NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で
毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる
つまり、税金がかからなくなる制度です。
NISAは、成年が利用できる一般NISA・つみたてNISA、
未成年が利用できるジュニアNISAの3種類があります。
- 一般NISA
株式・投資信託等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。 - つみたてNISA
一定の投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税で保有できます。 - ジュニアNISA
株式・投資信託等を年間80万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。
なお、ジュニアNISAについては、新規の口座開設が2023年までとされ、
2024年以降は新規購入ができないこととされました。
現行制度のNISA(2023年末まで)
現行の制度の概要は以下の表の通りです。
NISA(20歳以上) | ジュニアNISA(20歳未満) | ||
一般NISA | つみたてNISA | ||
制度開始 | 2014年1月から | 2018年1月から | 2016年4月から |
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 | 5年間 ※ただし、2023年末以降に非課税期間が終了するものについては、20歳まで非課税で保有を継続可能。 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 | 80万円 |
投資可能商品 | 上場株式・ETF・公募株式投信・REIT等 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託※金融庁への届出が必要 | 一般NISAと同じ |
買付方法 | 通常の買付け・積立投資 | 積立投資(累積投資契約に 基づく買付け)のみ |
一般NISAと同じ |
払出し制限 | なし | なし | あり(18歳まで) ※災害等やむを得ない場合には、非課税での払出し可能。 |
備考 | 一般とつみたてNISAは年単位で選択制 2023年1月以降は18歳以上が利用可能 |
2023年末で終了 |
新制度のNISA(2024年1月以降)
2024年1月より始まる新制度の概要は以下の通りです。
ジュニアNISAが廃止され、新しいNISAの対象となる商品が2階建てで異なる点が特徴的です。
NISA(18歳以上) | ||
新しいNISA | つみたてNISA | |
制度開始 | 2024年1月から | 2018年1月から |
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 |
年間非課税枠 | 2階部分 102万円 1階部分 20万円 |
40万円 |
投資可能商品 | 2階部分 上場株式・ETF・公募株式投信・REIT等 1階部分 つみたてNISAと同様 |
長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 ※金融庁への届出が必要 |
買付方法 | 2階部分 通常の買付け・積立投資 1階部分 つみたてNISAと同様 |
積立投資(累積投資契約に 基づく買付け)のみ |
払出し制限 | なし | なし |
備考 | 新しいNISAとつみたてNISAは年単位で選択制 |
岸田首相「NISAの恒久化が必須だ」との発言が意味すること
岸田首相は9月22日のニューヨーク証券取引所での講演で、
NISAについて「恒久化が必須だ」と発言しました。
その意図は、もちろん首相本人の発言通り、資産所得倍増プランの一環なのですが、
「制度自体(現制度は23年まで)だったものを恒久化する」という意図と
「非課税保有期間が5年(あるいは20年)とされていたものを無期限化する」という意図のどちらにも受け取ることができます。
いずれにしろNISAをより使いやすくしていく趣旨の内容であることには変わりなく、
将来の税制改正でNISAがより使いやすい制度となっていくことが期待されています。
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