福岡の税理士法人武内総合会計です。
2月も後半となり、確定申告の時期となりました。
先日、お客様から「去年はたくさん医療費を支払ったけれど、医療費控除を受けられますか?」と質問をいただきました。
今回は、
給与所得以外に収入のない会社員やアルバイトの方(年末調整済み)が
医療費控除を受けられるか判断する手順についてお話いたします。
※便宜上、この投稿内では、「給与所得以外に収入がなく、年末調整が済んでいる方」を「会社員やアルバイトの方」と表記します。
この記事でわかること
- 医療費控除を受けられるか判断する流れ(手順)は?
- 医療費控除の対象となる医療費は?
- 医療費控除を受ける方法は?
1.所得税を納税しているか
会社員やアルバイトの方が医療費控除を受ける主な利点の一つは、所得金額を減らすことによって税金が安くなり、所得税が還付されることです
まずは、支払った所得税の有無を確認します。
勤務先から発行された源泉徴収票をお手元にご用意ください。
源泉徴収票の「源泉徴収税額」の欄に金額が記載されていれば、
支払った所得税があると判断できます。
パートやアルバイトの場合は、
所得金額が低く所得税額が源泉されていない場合もあります。
(同居しているご夫婦等でしたら、所得が多い方が医療費を支払い、医療費控除を受けたほうが有利になりやすいです。)
2. 医療費控除を受けられるか集計する
医療費控除とは
1年間(1月~12月)に
「本人」と「生計を一にする配偶者や親族」の
医療費が一定額を超えた場合に受けることができる
所得控除です。
「生計を一にする親族」とは
親族の範囲は、6親等内の血族及び3親等内の姻族です。
・同居している(明らかに別々の生活を営んでいない)
・進学や転勤で同居していなくても、生活費や学費、療養費等の送金が日常的に行われている
という場合には、「生計を一にしている」ことになります。
「医療費が一定額を超えた場合」とは
「医療費が一定額を超えた場合」とは、
令和3年分確定申告の場合、令和3年1月~12月に支払った
医療費控除の対象となる医療費の合計額から、
医療費の補填を目的に支払われた保険金等を差し引いた金額が
10万円を超える場合をさします。
(総所得金額等が200万円未満の方は総所得金額等の5%を超えた場合をさします。)
「医療費控除の対象となる医療費」とは
医療費控除の対象となる医療費とは、
医師や歯科医師に支払う診療・治療の費用のほか、
病院までの交通費、治療に必要な医薬品の購入費、
介護に係る一定の費用などが対象になります。
診療・治療の費用や、治療のための医薬品の購入費については、
保険適用かどうかに関わらず対象となります。
病気の予防や美容のための費用や、
病状に応じて一般的に支払われている金額を
大きく上回る診療・治療の費用は対象になりません。
「医療費控除の対象となる医療費」の具体例
医療費控除の対象となる医療費の例
【対象となる医療費】
・医師や歯科医に支払う診療/治療費
・病院までの交通費
・治療に必要な医薬品の購入費
【対象とならない医療費】
・病気の予防のための費用
・美容のための費用
・病状に応じて一般的に支払われる金額を大きく上回る診療・治療の費用
医療費控除の対象となる介護費の例
【対象となる介護費】
介護保険制度の下で提供された一定の施設サービス・居宅サービスの自己負担額のうち一定の金額。
医療費控除の対象となる場合には、施設や居宅サービス事業者から発行される領収書に医療費控除の対象となる金額が記載されます)
【対象とならない介護費】
・介護用ベッド
・認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の利用料
・特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)の利用料
医療費控除の対象となる出産費の例
【対象となる出産費】
・妊娠と診断されてからの定期検診や検査費用、入院費、分べん費用等
・病院に対して支払う入院中の食事代(出前や外食は除く)
・出産で入院する際に、電車、バスなどの通常の交通手段によることが困難なため、タクシーを利用した場合、そのタクシー代
【対象とならない出産費】
・出生前遺伝学的検査の費用
・入院に際し、寝巻きや洗面具など身の回り品を購入した費用
・実家で出産するための帰省費用
支払った医療費は
- 健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ(医療費の通知)」に記載されている「該当期間の医療費の支払い額」
(例:R3.1~R3.9の加入者の医療費の支払い額) - 「医療費のお知らせ(医療費の通知)」で
集計されていない医療費控除の対象となる医療費
を合算・集計することで算出することもできます。
なお、書類の名称等は勤務先等により異なる場合があります。
「医療費の補填を目的に支払われた保険金等」とは
医療費の補填を目的に支払われた保険金等とは、例えば以下のようなものを指します。
健康保険等より支給を受けるもの
- 出産育児一時金、家族出産育児一時金
- 高額療養費、高額介護合算療養費
- 損害保険契約
- 療養費、移送費
- 家族療養費、家族移送費等
生命保険等より支給を受けるもの
- 入院給付金
- 医療保険金
- 傷害費用保険金 等
3.医療費控除を受ける方法
「医療費控除の明細書」を添付した確定申告書を
税務署へ提出することで、医療費控除を受けることができます。
医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、
医療費通知を添付することによって
医療費控除の明細書の記載を簡略化することができます。
「医療費控除の明細書」は様式を国税庁ホームページからダウンロードすることができます。
医療費の領収書は自宅で5年間保存する必要があります。
確定申告書の作成は、国税庁のホームページ「確定申告書等作成コーナー」からできます。
スマートフォンからも申告可能です。
「初めての確定申告で不安だ」という方は、
武内総合会計でも無料申告会を行っております。
お気軽にお問合せください。
(医療費控除の明細書をご依頼の場合は有料です)
【関連記事】
確定申告無料申告会「みんなの申告TaSuKe隊」開催のお知らせ【2022年2月1日~3月15日】
4.セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)と併用できない
セルフメディケーション税制とは
健康診断や予防接種など一定の取り組みを行っている人が、
本人や生計を一にする配偶者や親族が使用する一定の医薬品を
購入した場合に受けることができる【医療費控除の特例】です。
一定の医薬品の購入費のうち
12,000円を超えた金額が控除の対象となります。
上限は88,000円です。
セルフメディケーション税制の対象となる「一定の医薬品」は、マークで識別できます。
通常の医療費控除とどちらかを選んで適用を受けることができます。
(併用はできません。)
まとめ
今回は、令和3年分確定申告において
会社員やアルバイトの方が「医療費控除を受けられるか」
どう判断したらいいのかについてお話ししました。
- 医療費控除を受ける主な利点の一つは、所得税が還付されること。
(まずは源泉徴収票の「源泉所得税」の欄を確認する) - 「本人」と「生計を一にする配偶者や親族」の
1~12月に支払った医療費控除の対象となる医療費の合計額から
医療費の補填を目的に支払われた保険金等を差し引いた金額が
10万円を超える場合に受けることができる。
(総所得金額等が200万円未満の方は総所得金額等の5%を超えた場合) - 「医療費控除の明細書」を添付した確定申告書を
税務署へ提出することで、医療費控除を受けることができる。
(医療費の領収書は自宅で5年間保存すること)
ご不明な点がありましたら、お気軽にお問合せください。
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