2024事務年度(2024年7月~2025年6月)における法人税等の調査事績が、令和7年12月2日に国税庁のHP上に公表されました。

2024年度の調査の件数は、2023事務年度の5万9千件から5万4千件と減少しました。(対前年▲7.4%)しかし、追徴税額は2023事務年度の3,197億円から、3,407億円(対前年+6.6%)と増加しています。調査1件当たりの追徴税額は直近10年で2番目の高水準です。

AIの活用

国税庁は、追徴税額が増加している背景に調査先の選定にAIを活用していることを強調しています。

『国税庁においては、AIを活用した予測モデルにより調査必要度の高い法人を抽出し、予測モデルが判定した不正パターンに加え、申告書や国税組織が保有する様々な資料情報等を併せて分析・検討した後、調査官が調査実施の要否を最終的に判断しています。調査官の知見にAIの分析結果を組み合わせることにより、効率的で精度の高い調査を実施しています。』(令和6事務年度法人税等の調査事績の概要 国税庁 報道発表資料より抜粋)

 

【AIとは】

AIとは「Artificial Intelligence」の略で、日本語では 「人工知能」を意味し、コンピューターが人間のような知的活動を再現する技術です。AIは自ら学習し、状況に応じた選択を行うことが可能です。

【AIの定義と特徴】

AIは、人間の言葉の理解、認識、推論といった知的行動をコンピューターに行わせる技術を指す。単にプログラムされた通りに動くだけでなく、経験から学習し、問題解決や意思決定を行う能力を持つ。

調査選定では、
・同業種法人間の比較
・財務諸表の分析など
が重要となってきます。このようなデータの分析にAIの活用は最適と考えられます。

・2024年度のAIによる調査の状況

国税庁は、税務署所管法人339万件の中からAIによるデータ分析で調査先を49万件(約7分の1)まで絞り込み、さらに調査官が申告書内容、資料情報等の検討を加え、約5万3千件について調査を実施したとしています。
その結果、AIにより調査が必要と判定した法人に対する追徴税額は、1件当たり541万円に上り、その他の方法により選定した法人の追徴税額233万6千円に比べて2倍以上の水準となりました。

 

調査必要度の高い法人

『消費税還付申告法人』

2024年度は、消費税還付申告法人4,802件に対して実地調査を実施して、2,916件(約6割)において非違が発見されました。追徴税額は、1件当たり622万8千円です。
消費税還付申告法人に対して税務署は、どんなに還付金が少額であろうとも深度ある検討を行い、疑義が生じた場合には積極的に実地調査を実施しています。消費税の還付申告書を提出する際には、細心の注意が必要となってきます。

『海外取引法人』

2024年度は、海外取引法人1万195件に対して実地調査を実施して、合計2,096億円の課税漏れが発見されました。1件当たりでは、2千万円超となります。
海外取引法人では、『外国子会社合算税制』や『移転価格税制』の検討が必要となります。専門的知識に不安のある場合には、それらの税制に詳しい税理士に相談するのが賢明と考えます。

『無申告法人』

国税庁は、「申告納税制度の根底を揺るがす」として申告義務を果たしていない無申告法人に対しては強い姿勢で調査に臨んでいます。調査による法人税・消費税の追徴税額の総額は355億円となっています。意図的な無申告(不正)か否かの判断が難しい中で、不正計算に係る追徴税額は228億円となっています。なお、不正計算でない追徴税額についても、過少申告加算税に比べて重いペナルティである無申告加算税が課されます。

 

当事務所では税理士(国税OB含む)をはじめ、会計スタッフが、お客様の税務調査対応をご支援しますので、税務調査の際にはご相談ください。