今回は、「使用人兼務役員」についてお話しします。

まず『使用人兼務役員』とは

使用人兼務役員とは、国税庁HPでは、役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者と記載されています。
つまり、役員でありながら、同時に従業員としての職務も兼ねている人のことを指します。

 

なぜ区別が必要なのか

使用人兼務役員に対する報酬は「役員報酬」と従業員としての「給与」で構成されており、これらは税務上の取り扱いが違うため、区別が必要になります。

原則、役員に支払う給与は「役員給与」として取り扱われます。しかし、使用人兼務役員については「役員としての職務」と「従業員としての職務」を区分できる場合に限り、従業員部分は「従業員給与等手当」として取り扱いするうことができます。

税務上、給与については全額損金算入可能ですが、役員報酬については定期同額であることが必要など条件や制限があります。

 

注意点

●使用人兼務役員として「使用人給与」を支給するには、実態として実務を行っていることが必要です。

●実態がないと税務調査等で判断されると、全額が役員報酬とみなされて損金不算入になる可能性があります。

●以下に該当する役員は、使用人兼務役員にはなれません。
1 代表取締役、代表執行役、代表理事および清算人
2 副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
3 合名会社、合資会社および合同会社の業務執行社員
4 取締役(委員会設置会社の取締役に限ります。)、会計参与および監査役ならびに監事

●同族会社の役員のうち所有割合によって判定した結果、次のすべての要件を満たす役員も使用人兼務役員にはなれません。
親族内承継等で株を親族の方に渡した際には、これまで使用人兼務役員であった方もこの条件により使用人兼務役員に該当しなくなる可能性があるので、注意してください。

(1) その会社の株主グループをその所有割合の大きいものから順に並べた場合に、その役員が所有割合50パーセントを超える第一順位の株主グループに属しているか、第一順位と第二順位の株主グループの所有割合を合計したときに初めて50パーセントを超える場合のこれらの株主グループに属しているか、または第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計したときに初めて50パーセントを超える場合のこれらの株主グループに属していること。
(2) その役員の属する株主グループの所有割合が10パーセントを超えていること。
(3) その役員の所有割合が5パーセントを超えていること。

 

まとめ

今回は使用人兼務役員についてお話しました。中小企業では、役員でありながら、従業員の職務も兼ねている人もよく見受けられます。また、相続対策や親族内承継で株を譲渡することも多いと思います。税務調査等で指摘されて損金不算入になってしまわないように確認してみることが必要です。

参照
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5205.htm