皆様、こんにちは。福岡の税理士法人武内総合会計です。
7月に入り、いよいよ夏本番の暑さがやってきました。この時期、多くの企業で直面するのが「夏の賞与(ボーナス)」の支給ではないでしょうか。従業員の皆様の日頃の努力に報い、後半戦へのモチベーションを高めてもらうため、支給額の決定や資金繰りに頭を悩ませた経営者の方も多いことと存じます。
さて、従業員への賞与支給が一段落したところで、多くの社長様からこのようなご相談をいただきます。 「従業員と同じように、自分(役員)にもボーナスを出して経費にできないだろうか?」
結論から申し上げますと、社長や役員へのボーナスも、事前の法的な手続きを正しく踏んでいれば、会社の経費(損金)に算入することが可能です。しかし、従業員の賞与と同じ感覚で支給してしまうと、税務調査で否認され、多額の税金を追徴されるリスクがあります。
今回は、中小企業経営者が知っておくべき「役員賞与と税務のルール」について詳しく解説します。
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なぜ役員へのボーナスは原則「経費(損金)」にならないのか?
まず大前提として、日本の税法では、役員に対する賞与は原則として「損金不算入(経費にならない)」と定められています。
その理由は、会社の利益操作を防ぐためです。もし期末に「思ったより利益が出たから、社長のボーナスを増やして利益を圧縮しよう」ということが自由にできてしまっては、法人の公平な課税が成り立ちません。そのため、従業員の賞与は原則として経費になるのに対し、役員賞与には非常に厳しい制限が設けられています。
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役員賞与を合法的に経費にする方法:「事前確定届出給与」
では、どうすれば役員賞与を経費にできるのでしょうか。最も一般的な方法が「事前確定届出給与(じぜんかくていとどけできゅうよ)」という制度の活用です。
これは一言で言えば、「○月○日に、○円のボーナスを役員の○○に支給します」という計画を、あらかじめ税務署に届け出ておく制度です。事前に宣言した通りに支給するのであれば、利益操作の意図がないと認められ、全額を損金に算入することができます。
ただし、この制度を利用するには、以下の2つの非常に厳しい「壁」をクリアしなければなりません。
① 提出期限が非常にタイト
事前確定届出給与の届出書には、提出期限があります。原則として、「株主総会の決議日から1ヶ月を経過する日」または「その事業年度の開始の日から4ヶ月を経過する日」のいずれか早い日までに、税務署へ提出しなければなりません。これを1日でも過ぎると、その期の役員賞与は経費として認められなくなります。
② 「1円のズレ」「1日のズレ」も許されない
最も注意しなければならないのが、実際の支給時です。 届出書に「7月10日に100万円支給する」と書いた場合、実際に「7月10日に100万円」を正確に支給しなければなりません。
- 資金繰りの都合で、7月20日に支給した(日付のズレ)
- 業績が少し悪化したので、80万円に減額して支給した(金額のズレ)
- 思ったより儲かったので、120万円に増額して支給した(金額のズレ)
これらの変更を行った場合、支給した金額の「全額」が損金として認められなくなります(減額した場合は、減額後の80万円すべてが否認されます)。税務調査でも非常に厳しくチェックされるポイントです。
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中小企業経営者が取るべき現実的な選択肢
「事前確定届出給与」は、業績の予測が確実に見通せる企業にとっては非常に有効な節税策になります。しかし、常に変動するビジネス環境の中で、数ヶ月先の支給日と金額を1円単位で固定することにはリスクも伴います。
そのため、多くの中小企業では以下のような選択肢を検討します。
- 定期同額給与の最適化: ボーナスという形を取らず、毎月の役員報酬をあらかじめ高めに設定しておく方法です。これであれば毎月同額を引き落とすだけなので、最もシンプルかつリスクがありません。
- 「事前確定届出給与」の慎重な導入: もし導入する場合は、役員報酬の改定を行う株主総会のタイミング(通常は決算後2〜3ヶ月以内)で、今期の業績予測をプロである税理士と綿密にシミュレーションした上で届け出を行います。
まとめ:次期の役員報酬設計は「今」から始まっています
従業員への賞与支給は、会社の業績や従業員への感謝を形にする素晴らしい機会です。一方で、経営者ご自身の報酬やボーナスについては、感情やその場の勢いだけで決めるのではなく、事前の綿密な税務戦略が不可欠となります。
今回の夏の賞与支給をきっかけに、「自社の役員報酬のバランスは最適か?」「来期に向けて事前確定届出給与を検討すべきか?」など、一度会社の仕組みを見直してみてはいかがでしょうか。
当事務所では、顧問先様のライフプランや会社の財務状況に合わせた、最適な役員報酬・賞与のシミュレーションを行っております。
本格的な暑さが続きますが、経営者の皆様におかれましては、くれぐれもご自愛いただき、この夏を乗り切っていきましょう。
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税理士法人武内総合会計
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